Vol.7 PRRSと検査技術 小池郁子

2018年05月11日

皆様こんにちは。エス・エム・シー株式会社の小池郁子と申します。豚をメインとした家畜の検査・診断を専門にしています。肉眼では確認できない細菌やウイルス、豚の体内の異常を目に見える形にしていく仕事だと思っています。

PRRSウイルスの清浄化にも検査は欠かせないものです。抗体検査、PCR検査そしてシークエンス検査はPRRSウイルスの存在により養豚関係者に広く知られるツールとなり、発展していったと言っても過言ではないと思います。
日本国内でPRRSが確認された1990年代、PCRやシークエンス検査などの遺伝子検査といえば、科捜研でのいわゆるDNA鑑定くらいで、身近なものではありませんでした。そして、2000年代に入りヒトゲノム計画により、人の約30億のDNA配列が判明したころには、農場から採取した血液や肺を用いたPCRによるPRRSウイルスの有無確認は、すでに多くの農場で行われていました。そして現在では、科捜研さながら唾液や1敵の血液からのPCR検査も当たり前のように行われ、PCR検査だけでなくシークエンス検査によるPRRSの株の違いまで、数日のうちに判明できるようになっています。これほど遺伝子診断が身近に溢れている世界は他にはないかもしれません。

農場のPCRやシークエンス結果を毎日のように見ていますが、それぞれにストーリーがあり、浸潤率の高さやPRRS遺伝子の変異の速さに驚かされています。ですが、検査結果を眺めて、ただ驚いているだけでは何もなりません。目に見える形になったものを、どのように活かしていくか、そして活かすことのできる検査であるかが重要です。そこに危険があるとわかっても、避け方や取り除く方法が分からなければ意味がありません。
PRRSの進化に負けないように検査技術を発展させていくことが自身の役割だと感じています。そして、様々な分野の知見から、色々なストーリーの解決方法を探していくのがP-JETではないかと思っています。